企画概要書についての追記

SINCE:2000/06/21  最終更新日:2000/06/21


「企画概要書」について

企画概要書はゲームの概要を読み手に伝えるために制作します。

書面上の材料で動いているゲームを人に想像させなくてはなりません。
そのために必要なものを企画書として簡潔にまとめます。
無駄があっても、無論、足りないものがあっても「本当に言いたいこと」
は伝わりません。
企画書はゲームを作るために書くのであって、ここでゲームを作るのでは
ありません。
あったほうが良いに決まっていますが、完全なゲーム画像や設定データ
などはあまり必要ではありません。
あくまでイメージの世界でものを動かすのに必要なものがそろっていれば
それでいいのです。
そして、忘れてはならないのが、これは“予算と期間を確保するための書類”
(を想定している)ということです。



<企画概要>
 「5.発売予定地域とメインターゲット」について

    このゲームはどの国の誰を対象に作られるのかを記載します。
   ゲームは企画書の読み手を対象に作るわけではありません。
   読み手には、対象となっている人の立場でゲームが動いているところを
   連想してもらわなくてはなりません。
   それが誰なのかをここで明記することで、後述する<企画趣旨>の根拠
   を解説しやすくします。

   例えば、

    販売予定地域:日本および欧米。
    メインターゲット:16歳以上の若い男子を中心に。

   などある程度幅を限定します。
   これが、ゲーム全体のテイストをコントロールする参考になり、また広告
   などの情報をどこに発信するべきかの手がかりともなります。

   企画を立てるときにターゲットを設定するというのは非常に重要なことの
   ひとつなのです。
 

   また、予定販売本数も記載できればなおよいでしょう。
   「売る対象」と「売ろうとしている本数」が記載されていることで、
   この後で展開される「根拠」に現実味を与えます。
   ただし、これはかなりの経験者にのみ可能なことでしょう。



<企画趣旨>について

 <企画趣旨>は「なぜ」なのかを主に説明します。
 「なぜ」この企画を立てたのか、<企画概要>で述べた材料から簡単に説明する。
 そして、このゲームの「何がどのように面白いのか」を理論的に解説する。
 理論的といっても理屈をこねるのではない。
 理にかなった材料を「誰に/いつ/どこで/何を(どのように)する」という
 順番にならべ、「なぜ」それが面白いのか読み手にイメージさせる。
 選んだ材料に説得力があると、ならべた時点で読み手は面白いことに気がついて
 しまう。
 くどくど説明するまでもなく楽しさをイメージさせることが出来ればここでは
 満点と言える。


 例えば、

 <企画概要>
  ジャンル:3D・対戦型プロレスゲーム
  対応ハード:セガ・ドリームキャスト(容量未定)
        メモリーバックアップ
        ネット通信機能使用
  プレイスタイル:最大6人同時対戦プレイ(ネット通信機能でも可能)
  販売予定地域:日本及びアメリカ
  メインターゲット:13歳以上の男子でプロレスファンを中心に…

 と材料をならべたとする。

 実現のために必要なことを度外視して話をすると、<企画趣旨>で
 「友達とタッグを組んで、顔も知らない国外のプロレスファンとも
  対戦が出来る…」などと書くと対象になっている人の立場で想像すると
 けっこう楽しげなものに感じると思う。

 規模を調査はしていないが、「なぜ」というところでは、

  1.プロレスに根強いファンがいること。
  2.プロレスを支えてているファン層が主にゲームをする世代の男子で
    あること。
  3.国内外に周知のプロレスというルール上でわかりやすく多人数プレイ
    の対戦格闘ができること。
  4.「ネット通信」というプラス要素がファン同士のつながりを利用して
    浸透し、大規模なネットワーク構築が期待できること。

 などを上げる。
 (実現のためにはドリームキャストの処理速度、実名使用のライセンス契約、
  通信環境の整備など、パッと考えただけでも問題が多い)

 「何を(どのように)する」から「楽しくて」「プレイしてしまう」といった
 理にかなったシステムが構築できていれば「面白いゲーム」は完成するでしょう。



会社へ出す「企画」について

会社の興味を理解する
 売買されるという点でゲームは純粋に商品であって、いち作家の作品とは大きく
 性質が異なります。
 作るなら作るなりの「勝算」がなくてはなりません。
 会社の体制などにもよりますが、そういう意味で企画者は銭勘定が出来ないと
 仕事をやっていくことが出来ません。
 センス1本で勝負すると言ったところで、会社は“実現できないもの”に興味を
 持ってはくれません。
 会社の体制に応じた「適度な規模」とそれに見合う「推定利益」を視野に収めた
 企画が会社では要求されています。
 また、言うまでもなく会社運営の方向性に沿うことも要求されています。



ものの作り方
 ものを作るときには逆に「作れない理由」を考えるのが良いでしょう。
 「作れない理由」を探すことで「問題」を明確に定義でき、それに対して
 「解決策」を考えることで、ものは自ずと成立していきます。
 自分の企画が「作れない理由」を抱えている限りは作るべきではありません。
 確実に破綻し、帳尻を合わすために苦労するのは目に見えているからです。
 「解決策」をプロデューサー(出資者)に委ねる手もあります。
 その時は企画概要書に<問題点>の項目をつけます。
 プロデューサーの“手”の中で使えるものがあれば、その企画は残していた
 「問題」を解決し“GO”がかかります。
 もちろん、企画に勝算となる魅力がある時の話です。



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