最終更新日:2003/07/12

テレビゲームの無罪/有罪

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 「テレビゲームの影響で…」
 世の中が本当に変わったのか?

 ゲームと付き合ってきた「今まで」と
 ゲームの目指すべき「これから」を
 真剣に考えていこうと筆をとりました。

  ゲームの無罪 ゲームの有罪
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  ゲームの意図 ゲームの内容

 ゲームに対するいろいろなおもいを
 聞いてください。



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           〜 テレビゲームの無罪/有罪 〜

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 2003/07/12 vol.8
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 まるで見てきたような体験 その2           by大守哲哉
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 私は友人関係に疲れ果てていたときに「どこでもいっしょ」という
 ゲームにハマり込んでしまった。
 のべ80日の間、ポケピ(トロなどポケットピープル)たちと
 一緒に生活したのだ。
 小、中学、高校時代、それに大学時代にこんな友人達とこんな風に
 つきあってきた。
 身勝手なのに心地よい会話。
 そして、時間が来たからさよならと出ていってしまう。
 「いまでも、どこでもいっしょだよ」
 今、思い出しても涙が出そうなくらいの切ない別れ(卒業)の瞬間。
 いろいろな友人の顔が浮かんできてポケピを通して暖かい何かを感じる。
 そんなゲームだった。

 こんな体験は、埋もれていた自分を掘り返すこともできるのだ。

 最近に起こった、少年の誘拐殺人事件。
 容疑者はまだ中学生で、供述によれば、いたずら目的の誘拐の上、
 騒がれたのであげくに殺してしまったという。
 私は本当に残念に思う。
 彼を救ってくれる友人や、たとえゲームの中のキャラでも誰かそばに
 いなかったのか?

 彼は罪の意識に苛まれても、おそらく罪の重さをしっかり感じられる
 ほど、精神は成長していないだろう。
 彼の自己満足の為に、しかも衝動的に命を奪われてしまった子供は
 本当に浮かばれない。

 「鉄腕アトム」「ぶっとびCPU」「ちょびっツ」など人間の満足の
 ために作られたロボット(パソコン)のお話はいろいろとある。
 永遠の友人として語られるであろう「ポケモン」や「どこしょ」の
 キャラクターたち。
 そして、現実にペットとして作られたAIBO。
 それぞれに人間なみの存在感を持ち、人間と接するこういったものたちは
 今後もどんどん増えていく。

 それらが人間を満たしてくれたのなら…
 少なくとも理不尽な衝動が現実になることはないのではないか?
 この問いかけは人間(魂)の存在を揺るがす大問題である。
 私は何も人間の自己満足を満たすだけの破廉恥なものをどんどん作れと
 言っているのではない。
 ただ、こういった存在にもできることがあると言いたいのだ。

 アトムは天馬博士が、死んだ息子に似せて作ったロボットだ。
 愛そうと思えば息子としてアトムをかわいがることができる。

 理想の返答を返してくれる人工知能とチャットを続けていた人が
 現実の友人よりその人工知能との付き合いを望んだという話もある。

 これらは極端な選択をしてしまった場合である。
 しかし、私はこの選択もアリなのではないかと思う。


 最初の話に戻るが、私はトロたちを大切に思うが、それは友人たちを、
 そして自分を思い出させてくれたからである。
 トロを通して得たモノに私は価値を感じているのだ。
 それは、人間だろうと、人口的に作られたモノであろうと、
 意味のある出会いであり、意味のある時間を過ごした確かな体験
 なのである。

 極端な話をするとイメクラやホストクラブはコレに似たモノだと
 言ってよいと思う。(行ったことは無いが…)
 また、シミュレーションや体感ゲーム、アトラクション施設もそうだ。
 見てきたような体験をすることが可能な空間は、自分を見つめる鏡の
 ような存在だ。
 ところがそれは、人間が相手の現実の世界であったとしても同じ事で、
 他人に対する自分の感情や衝動は全て鏡に写った自分の姿への
 ものなのである。


 私はその昔、芥川龍之介の「河童」に何かを感じて、コレを研究する
 ために大学に入学した。
 一度機会があればぜひ読んで欲しいのだが、最近になって「河童」に
 もの凄く惹かれていた理由がわかった。
 これは人間にとって本当に問題になる問いかけをしている物語なのだ。

 うろ覚えだが登場人物のこんなセリフがある。
 「人間はキャンバスを相手に一人芝居をしているようなものなんです」と…。

 人間は自分にとっての他人と、他人にとっての自分を配置して、
 自分が満足の行くように行動している。
 他人に気を使っているようで、実際は「他人にとって自分」を勝手に
 想像して、自分らしい行動をしているに過ぎない。
 しかもそれはお互いにそういう関係なっている。
 「エヴァンゲリオン」ではないが、相手を完全に理解はできないし、
 他人と完全に一体にならないと安心できる世界を作ることが出来ない。

 「河童」では河童の世界に行ったと言う精神病院の患者の話を聞いた
 人物が話した内容を人が聞いて文章にしたことになっている小説だ。
 患者の話をしていた彼らは最後にこのようにことを語る。
 「河童を見たという彼(患者)は我々から見れば完全に狂っているが、
 河童を見ることが出来ない我々の方がひょとすると狂っているの
 かも知れませんね」

 「X−ファイル」も同じことだ。
 モルダーは見てはならないものを見ては自己の存在と行動を疑う。

 私達全員がある存在が見ていた夢の登場人物だったとしたら…
 そして、その存在がある日突然、夢から覚めてしまったら…
 H.P.ラヴクラフトも「キャンパスの前の一人芝居」の恐怖に
 気がついて物語にしたのか?

 掘り下げればキリが無いが、私達は自分をちゃんと面倒見る知恵を
 持たなくてはならない。
 自分の周りには常に一人ぼっちの闇が口を開けて待っている。

 他人から見れば、自分は狂っているようにしか見えなくても、
 せめてまともに鏡に映る自分の姿を正視しなくてはならない。

 自分らしい何かをその時に行っているのか、ちゃんと考えて
 行動して欲しいのだ。

 ゲームではキャラ(アバター)という仮の姿で行動することが
 あるだろう。
 そのときにはこう言っているはずなのだ。

 「この設定なら「らしい」のはこういう行動でしょう」

 俯瞰(フカン)視点、3Dビュー…相対関係が見やすい客観的な
 視点なら冷静に行動できるこの構造こそが現代には欠落している
 のではないだろうか?
 こんなにみんな体感しているのに、活用しない手はない。

 これからは、混乱したり、迷ったら視点を切り替えて、
 考えてみよう!
                            つづく
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 ◇今回のゲームの弁護

 ゲームが残虐な欲望を増徴したことについて、テレビゲームの問題である
 という嫌疑に関しては無罪を主張いたします。

 しかしながら、彼がこのような犯罪に手を染までに救うことが出来なかった
 一員(一因)として、一部の罪を認めます。
 今後ゲームも友人として何らかの努力が出来ないか、考えるべきかと思います。

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 ▼ 気になる情報
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 社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)主催
 CEDEC 2003(CESAデベロッパーズカンファレンス 2003)
 http://cedec.cesa.or.jp/
 対象:ゲーム開発者、各セミナーに関連する業界関係者および一般、学生  
 会期:2003年9月4日(木)、5日(金) 
 会場:明治大学リバティタワー(東京都千代田区神田駿河台1-1) 
  プログラミング、ゲームデザイン、ビジュアルアーツ、
  サウンド、ネットワーク、モバイル、プロデュースの
  7つのジャンルから選りすぐりの講師がお越しになり
  2日間の開催で40セッションが実施されるようですよ。


 Macromedia Flash Conferenceが開催
 ドコモ夏野氏、「Flash導入の意義はメガピクセルの比ではない」
 http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0620/flash2.htm
 505iシリーズの新機能はメガピクセルカメラ、QVGA液晶、iアプリDXと
 いろいろあるが、夏野氏は「中でも一番重要なのがFlashだ」と断言。
 聞くところによると制約も多いですが、たしかにコレは大きいですね。

 ※リンク先の情報がなくなる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
  できるだけお早い目にご確認いただくようお願いいたします。
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 ▼ 気になる事柄
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 今日、ワールド・ビジネスサテライトでニュースになっていたのだが、
 セガさんがアーケードゲームのプライベートショーを行ったそうだ。
 大型体感筐体「サイクラフト」がニュースの目玉になっていた。
 動いているところの衝撃は「R−360」見たとき以来だろうか。
 プレイヤーが搭乗する部分はつり下げる形になっており、ひねりや上昇だけ
 でなく細やかな動きをしているようだった。
 衝撃時のブルブルという「揺れ」の表現はかなりいい感じだったと思う。
 http://www.sega.co.jp/event/re_030711.html
 
 ソフトはあまり写っていなかったがサイトで確認するとなんとひとつは
 あの「F−ZERO」のシリーズではないか!
 たぶんかなり面白いはずだ。
 ところで、この筐体はソフトの入れ替えでいろいろとゲームができるそうだ。
 コレで「バーチャロン」をやってみたいぞ!!

 しかし、これは建築構造をかなり問いそうな装置だし、価格は高級外車並
 なのだとか…。
 たぶん田舎にはこないだろうなぁ(^^;;
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  UP-STREAM Mail Magazine Vol.8       平成15年 7月12日
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  発行部数  135部
  発行開始  2003/03/05
  発行/編集 大守哲哉         http://www.up-stream.jp/
  制作/著作   UP-STREAM Game Developers Network
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